2018/10/25

シンガポールへのラブレター / To Singapore with Love




愛してやまないイースト・コースト・パーク

Just in case, if my blog would ever reach to my dearest Singaporean author, Mr. Kevin Kwan, by accident, I'd like to show my gratitude and appreciation here to you for your book "Crazy Rich Asians" that made me proud of the fact that I used to live in Singapore even just for one year and also the fact that I am a part of Asians, not just Japanese.  Thank you very much. 

ご都合主義なのは、自分でも分かってます。

確かに私は、シンガポール滞在中はシンガポール生活の不満をよく言っていたし、
ややキレ気味でシンガポールから日本に本帰国した時は、

「もうシンガポールになんか、2度と行くもんか!」

と、シンガポールでの過去をなかったことにしたいと思ったこともありました。

でも。

もうすぐ、シンガポールから日本に帰国して1年が過ぎようとしている今となっては、シンガポール ー と言うよりも、正確には、私が住んでいた地域のカトン(Katong)ー が、とっても恋しいです。


なぜかといえば、理由は2つ。


1つ目。予想外に、日本で多くのシンガポール人と知り合ったこと。

知り合いができて気がついたことは、特にシンガポール人男性が優しくて、親切だということ。
シンガポールでは全く気づかなかったけど、日本人男性という比較対象がいる環境の中では、その優しさが一目瞭然です。

例えば、「あー、寒いー」って呟いたら、すぐに「僕の上着を貸そうか?」と聞いてくれる人がいたり。

酔っ払って、夜道を徘徊しそうになった時には、心配して付いて来てくれる人がいたり。

友達の誕生日を祝うためのランチに誘ったら、初対面である友達にわざわざプレゼントを用意してくれる人がいたり。

本当に、優しいんです。日本に住むシンガポール人たち。

それで思い出してみたのですが、そういえば、シンガポールには、素朴で優しい、もしくは、お節介だけど優しい人たちがたくさんいました。

それなのに私はその優しさに気づかず、本当に傲慢でした。ごめんなさい。反省してます。


2つ目。私の思い出の詰まった場所が多く登場する、シンガポールに関する本たちに出会ったこと。

私をシンガポールに引き戻した本は2冊あります。

1冊目は、シンガポール人作家ケビン・クワン著の『クレイジー・リッチ・アジアンズ(Crazy Rich Asians)』。2013年に出版されたこの小説は、ハリウッドで映画化され、アジア人キャストでメインを固めたという歴史的な快挙を成し遂げ、全米で1位となりました。 2018年秋、日本でも公開となり、それに伴い、日本語訳版が出版されたわけです。

シンガポール在住の時に、本屋でよくこの本を目にして気になっていたし、映画化の話も去年から知っていたので、日本で小説を和訳で読み、映画を字幕付きで観れることは私にとっての至福でした。

ストーリーは、アメリカで育った中国人(ABC, American Born Chinese)が、同僚で恋人の故郷シンガポールに遊びに行ったところ、恋人がクレイジーな金持ち一家の御坊ちゃまだと知り、お家騒動に巻き込まれるというもの。(かなりザックリ汗)

小説は、シンガポールに生息する、あり得ないほどのお金持ちの(中華系)シンガポール人一族を題材としているので、(一般の人には知られていない場所として)架空の場所も登場するのですが、それと上手い具合に、現実世界に存在するシンガポールの名所・地域が多く登場します。 ラウ・パ・サ、ケアンヒル・ロード、スコッツ・ロード、トア・パヨー・・・などなど。その地域の特色が小説から垣間見ることができます。

また、いわゆるシングリッシュ(マレー語や中国語がミックスされてできた英語)もたくさんセリフで出てくるのですが、必ずチャプターの最後に、その言葉の意味を作者が(時に面白おかしく)解説してくれるので、勉強になると同時に、私にとっては、懐かしく感じます。

映画では、アジア的価値観・伝統を守ろうとし、西洋的価値観を受け入れられない親と、西洋(アメリカ)で育ち、西洋的考え方を持つ子供のカルチャーギャップを中心に描かれていましたが、小説では、その溝がもっと深く描かれています。いわゆる、特権階級と一般階級の差という、どうしても擦りよせができないような溝です。

小説『クレイジー・リッチ・アジアンズ』からは様々なことが学べます。アジア人的思想、複数の国に跨がる中国人(華僑)コミュニティーの強さ、シンガポールの歴史、その他アジア諸国に関する知識、など。まさに、シンガポール・アジア圏を訪れる機会がある方には、必見の小説です。

そして、これは小説を読んだ人にしか分からないことですが・・・

映画は、主人公レイチェルとニックを中心に描かれていましたが、小説では、ニックの従姉妹、アストリッドのサイドストーリーも描かれ、私はそのアストリッドのお話が好きなのです。

私がこの小説の中で一番好きな登場人物。それが、アストリッドが昔付き合っていた男性、チャーリー。彼がアストリッドへの無償の愛からとった行動は、アストリッドには気付かれないけれども、私たち読者は、ちゃんとあなたの素晴らしさを知っています!



さて、私が出会った2冊目のシンガポールに関する本は、太田泰彦著の『プラナカン 東南アジアを動かす謎の民』。

2015年から2018年までシンガポールに駐在していた日経新聞記者の太田さんは、マニアックにも、"プラナカン"と呼ばれる人たちにフォーカスし、その人たちを中心にシンガポール・東南アジア諸国を紐解いて、解説しています。

プラナカンとは、アジア諸国の間でも定義が異なってくるものの、15〜16世紀に中国大陸からマレー地方に渡った男性と、現地の女性との間に生まれた子孫・末裔のことを指しています。彼らの文化は独特で、鮮やかなパステルカラーの建物や陶磁器でシンガポールでも一目置かれています。

このマニアックな本に私が引かれたのは、私がプラナカン文化の香るカトン地区の住民だったから。

カトンは、マリーナ・ベイ・サンズのようにキラキラしていないけれども、穏やかで、開放的で、居心地がとっても良い場所。海辺沿いの公園もあるしね。

私は毎日、自分の住むコンドミニアムからスーパーがあるショッピングモール(112 Katongとか)や、ヨガスタジオ(YogaLab)に向かう途中、必ずプラナカン建築であるショップハウスの街並みを目にしていました。その街並みを歩いていると、ローマの街並みを歩いている時のように、幸せな気分にさせてくれるのです。

プラナカン建築のショップハウス (写真: honey combersより)

なので、本の中でカトン地区が登場する度に、私はあの歩いている時を思い出して、幸せな気分になりました。

それと同時に、ちょっと恥ずかしくもなりました。太田さんは、プラナカンの末裔の人たちをインタビューし、プラナカンを通してシンガポールを深掘りして行ったのに、私は上辺でしか、自分の大好きな地域であるカトンや、住んでいた国シンガポールを理解していなかったから。

例えば、本の中に、衣服デザイナーのレイモンドさんという方が登場するのですが、その人が家族経営をする、プラナカン風のお土産屋さん、Kim Chooが、私が毎日通っていたイーストコースト通りに位置していたのです。調べてみると、確かに私はその店を外から見ていたのですが、中に入ったことはありませんでした。

でも、後悔はしていません。感覚レベルだけだったとしても、素敵な文化が息づくカトンを大好きだった自分を、誇らしく感じています。



私は残念ながら、ケビンさんや太田さんのように、自分の思い出の場所を題材にした本を書く文章能力は全くないので、代わりにこのブログで、シンガポールに対する感謝の気持ちを表して終わらせたいと思います。

シンガポールに行ったことで、自分の好きな場所、カトンに出会え、そのおかげで、思い出の本にも出会えました。そして、シンガポールでの経験のおかげで、自分はアジア人だという認識を持つことができました。

シンガポールにいた時は嫌なことばかりに目がいっていたし、日本帰国後も、シンガポールにまつわるちょっと嫌なことがあったけど、今となっては良い思い出しか記憶にありません。

結局、最後の最後には、過去にどんなことがあっても、良い思い出しか後に残らないのだと思います。そして、その思い出が真実なんだろうって、信じています。

だから、そう考えると、、、


私は、シンガポールが大好きです!


って、堂々と言いたいです。


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