2018/08/15

それでも彼の世界は周り続ける




夜中12時前、サシ飲みをした相手の男性に電車駅まで送ってもらい、一人改札口を通り、帰り方面の電車が止まるプラットフォームへ向かう。日本はお盆休みの時期で、かつ、火曜日という微妙な日だからか、人気は少ない。

改札口を通るまでは我慢していた涙が、電車に乗り込む頃にはどうしても堪えきれなくなる。

理由ははっきりしているけれど、どうにか涙を抑えようと、適当な理由で紛らわそうとする。

普段、お酒はグラス2杯で済ませておくところ、今日は5杯以上飲んで酔っぱらったから、頭フラフラで涙もろくなったのかな、とか。

急にカーペンターズの曲を聴きたくなって、いざ聴いてみたら、夜中によくなるノスタルジックな心情に沁みり、何となく悲しみに浸りたくなったのかな、とか。

でも、違う。そんなの、違う。
私は、あの人のことを思い出して、想って、泣いてしまうんだ。

数年前に出会って、サヨナラを言った人。
今も元気にしているのかな? - 元気にしているんだろうな。
ちゃんとご飯食べてるのかな? - 間違いなく、ちゃんとご飯食べてるだろうな。

ミュージカルのラ・レミゼラブル作中で歌われていた曲に倣えば、

Without me, his world will go on turning.
(私がいなくたって、彼の世界は周り続ける)
ー『オウン・マイ・オン』歌詞から抜粋



そんなことはちゃんと分かっているけれども、だからこそ、悲しいんだ。だって、一方の私は、ふと突然彼のことを思い出しては、世界が止まってしまうから。

だからもう、ここが東京都心の電車の中だろうが、人目を気にして涙を堪えるなんて到底できない。嗚咽も止まらなくなったけど、どうしようもない。目のサイズが元の半分になり、下唇が引っ込んで無様な顔だろうが、仕方がない。と、勝手に自分で正当化する。

でも、実際のところ、東京都心の優しさなのか、冷たさなのか、同じ空間にいる誰も私に気づかない。少なくとも、気づいていないフリはしてくれている。

私の向かい右側に座っている男性と、私の左側に座っている男性は、完全に寝ているし、私の右側に座る男性は、窓越しに映る姿から見ると、焦点は合わさっていない。私の向い側左側にいる女性もしかり。

誰にも、何も、言われない。正直、その時の私にとっては好都合で、有り難かった。

所詮、私たちは見知らぬ他人なんだ。よく知らない人を一々気にしている余裕なんてないんだ。だから、自分のことは自分でなんとかしないといけない。

東京の電車内の空間はいつもそう、教えてくれる。
だから、私もその教えにこれからは従おうと思う。



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