2016/07/10

いちインド在住日本人が、村上春樹の本に出てくる登場人物にイライラしてしまう理由



村上春樹の本は今まで1冊も読んだことはなかった。どんなに世間で話題になっていても、読んでみようという気になったことは一度もなかった。作品内容を全く知らずにしても、世間の村上春樹への評価をかすかに耳に入れた感じでは、「多分、私は村上春樹の本は好きになれないだろう」と思っていた。

でも、どうやら村上春樹は海外での評価が高いようだし、実際に外国人と話すと「"Haruki Murakami"の本を読んだことがあるよ」と言われることが多い。そんな時に、「私は"Haruki Murakami"の本を読んだことがない」と返すと、「えー、日本人なのに何で?」と相手に驚かれるし、私は私で、せっかくの日本ネタを広げるチャンスを逃してもどかしい気分になる。

だから、"日本人としての常識"として、Haruki Murakamiの本を読むことにした。宿題を嫌々ながら強制的にやらされる学生のように。

外人受けがいい作品を読んだほうがいいだろうと、とりあえず海外ではどの本が人気なのかを調べる。

Googleで、【Haruki Murakami must read】と検索。

"The 10 Best Haruki Murakami Books”を紹介するサイトにたどり着き、1番目に"A Wild Sheep Chase"という本が出てくる。よし、これにしよう。邦題は・・・『羊をめぐる冒険』。

『羊をめぐる冒険』のストーリー要約については、ここでは行わない。私はまだ、第4章の冒頭部分までしか読んでいなくて、全体の話の流れを把握してはいないし、今回私がここで触れたいのは、ストーリーの内容についてではないから。もし君が興味があるのであれば、Wikipediaででも、Amazonででも要約を確認してくれればいい。(←ちょっと、村上春樹風に言ってみたつもり。)

私が触れたいのは、登場人物についてだ。特に、主人公、"ぼく"について。

日本にいるアンチ・ムラカミストたちのように、物語の1ページを読み始めてすぐに私は違和感を覚え、読み進みながらもクスクスが止まらなかった。

この"ボク"って、かなりウザくない?と。

私は、村上春樹の文体は結構好きかもしれない。洋楽の歌詞をとにかく長〜くして小説にしました、みたいな感じで、耳心地が良い言葉が連なって、おしゃれな雰囲気が出ているから。おしゃれか、ダサいか、どちらか選べとなったら、私はおしゃれな文体の方を選びたいもの。

でも、やっぱり、主人公がウザいし、ムカつく。

この架空の人物への腹立たしさが一体何なのだろうと突き止めるために、他のアンチ・ムラカミストたちのレビューをネットで色々読んでみる。

あるレビューで見つけた村上春樹の登場人物への批判:

村上春樹の登場人物は、ともかくうざいです。現実世界にこんな芝居がかった言い回しや、気の利いた(?)警句を日常的に口にする人間はいません。


つまり、あまりにも登場人物にリアリティーがなさ過ぎて、共感できない、ということらしい。ウーン・・・なんか、この批判に100%共感できない。完全に非現実的な登場人物だったら、私は腹立たしさなんて感じないはず。とすると・・・・

あぁ、そうか。村上春樹のウザい登場人物、現実世界に存在しそうでしていなくて、それでいて、現実世界に存在しなさそうでしているからだ。うん、きっとそうだ。つまり、村上春樹の登場人物たちは、私に、現実世界に存在する一定数の人たちを思い起こさせるのだ。

現実世界に存在する一定数の人たちとは・・・インド人。(特に、インド人女子。)

私がインドに住んでみて、インド人について何となく発見したことは、彼らはどうやら格言とか名言とかがものすごく好きらしい。よく、格言を引用した紙を机の壁際に貼ったり、友達や同僚とのメッセージのやり取りで、響きがいい名言の引用を勝手に送ったりしている。その影響でなのか、実際にインド人は会話の中で、"決めゼリフ的に聞こえる発言"をしたがる傾向にあるらしい。(特に、インド人女子。)と、少なくも、インドにおいて外人である私にはそう見える。

例えば、ものすごく簡潔にするとこうである:

【例1】

私:何であの人、うちのオフィスにやって来たの?
インド人女子:何で、いけない?(=Why not?) 私たちに会いたくなったから来ただけでしょ。


【例2】

私:何で、これはこうなの?

インド人女子:そういうもんだから。(=It's like that.)


【例3】

インド人女子:死ぬまで働くために私は生まれてきたの。(I was born to death by work.)

私:(無言)


これらの例で、私が言いたいことが伝わっているかどうか不安だけれども、結構インド人たちと話していると、彼らが勿体ぶった話し方をすることが多くて、すごく疲れる。

ある登山家が、「なぜエレベストに登るのか?」という質問に対して、「そこに山があるから」という答えをしたことで有名だが、こんなやり取りが、日常的にインド人とのやり取りで行われるのだ。

確かに、決めゼリフとしては、「そこに山があるから」はイカしてるよ、うん。認める。でも、耳心地にいいだけであって、答えになってないじゃない。見かけは格好良くても、中身がないのよ、中身が!!!

私は現実世界では真面目な答えが欲しいのだ。「どうして?」という質問に対して、「どうしても」なんて答えは欲しくない。そんな無意味なやり取りをするほど、暇ではない。だから、私はインド人女子とは、仕事以外でのプライベートでは関わりを持とうという気持ちがない。

そんな無意味なやり取りが、村上春樹の本では幾度となく出てくる。例えば、こんな感じ。

「一年間何をしてたの?」と彼女は僕に訊ねた。
「いろいろさ」と僕は言った。
「少しは賢くなったの?」
「少しはね」
『羊をめぐる冒険』第1章より一部抜粋 

もう、本当に、「おやおや」でしかないよ!

中途半端に、村上春樹の登場人物たちが、片足を膝まで現実世界に突っ込んでいる感じ。私にとっては、おかげで、現実世界でのある人たちへのイライラを思い出してしまい、物語の世界に入り込めない。

きっとインド人たちは、村上春樹の本を読んだら好きになるでしょう。

とりあえず、私は頑張って、『羊をめぐる冒険』を最後まで読みきって、一応は「Haruki Murakamiの本、読んだことあるよ」と言えるようにしよう。







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