2017/03/27

シンガポールライフ3ヶ月目:の最後の週末





基本、一人でいることも、一人で行動することも厭わない性格で、孤独への耐久性は強いほうだと自分では思っているが、夜遅く飲み会から帰ってきた後の自分の部屋の静けさにだけは、どうしても耐えられない。なんだか急に自分が惨めに思えてきて、その惨めさは翌朝起きてからも続く。

だから、その飲み会が仕事関係だろうが、プライベートだろうが、楽しかろうが、楽しくなかろうが関係なく、「なるべく終わらないでほしい」と思う。そしたら、家に帰らなくて済むし、あの静けさの中、くだらないことを考える必要がなくなるから。

金曜夜は、シンガポールで初めて自分の会社のお客さんから誘われた飲み会に参加する。その日は時間休をとって一旦家に帰ってから、集合場所に行くことにしたので、何の格好で飲み会に参加すればいいのか迷う。

完全に仕事関係で目上のお客さんとの会食がある日や、偉いおじ様たちが集まるような日には、少し綺麗な格好をしようと思う。ほんの少しだけ高級そうに見える(実際は違う) ワンピースを着て、メイクも濃くない程度にする。インド時代の会社の上司に、"会食の時はオシャレをするよう"命じられて以来、その癖が抜けない。

完全なプライベートだったら、メイクはしない。自分の濃い顔が余計濃く見えるから。そんなにカッチリとした格好もしない、当たり前だけど。

だから、お客さんから誘われた飲み会に何を着て行こうか迷う。私にとっては、ある意味"仕事の付き合い"にはなるけれども、その人の年齢や立場や、飲み会への誘われ方を考えると、プライベートなのだと思う。オフィス服だと堅苦しいだろうし、かと言って、完全なプライベートな格好はさすがにできないから、じゃあ間をとって、ややカジュアルなワンピースを着て、ほんの少しだけメイクをする。

自分の中では"仕事関係の飲み会"と認識をしているくせに、飲み会のスタート時間に遅刻をする。着いてみたら、すでに集まっている人たちは仕事帰りのはずなのにラフな格好をしているので、「あぁ、今日はプライベートモードでの対応で大丈夫そう」とすぐさま心を入れ替える。逆にカッチリとした格好をしてこなくて良かった、と安心もする。






場所はボート・キーにある日本食居酒屋。ボート・キー、クラーク・キー、ロバートソン・キーは、それぞれ川沿いにある飲食店が沢山あるエリアだが、ロバートソン・キーの日本食店に日本人客が多くいるのとは違い、ここボート・キーはもっと観光地であるため、今日の日本食居酒屋には外国人が多いらしい。

飲み会のメンバーは7人。全員私よりも年上で30代の人たちだけれども、堅苦しい話はなしで、当たり障りのない会話をしながら、ただアルコールを飲むだけなので、有難いことに気が楽だった。

2軒目に行く際には、メンバーが7人から6人に減り、行った場所ももう直ぐ閉店なため、各自1杯だけのお酒のオーダーとなる。マリーナ・ベイ・サンズが目の前に見える景色の良いこのバー『South Bridge』はシンガポール在住日本人の間で非常に有名なのか、先週も違う人たちと来た覚えがある。(そして、その時は閉店間際だったため、何の注文もできず、景色だけを楽しんだ。 夜中12時に閉店になるのが、玉に瑕。)

2軒目を出た頃には夜中の12時前だったが、私は帰りたい気分じゃない。翌日は朝9時にヨガ教室の予定があるから、帰って早く寝たほうが良いのは分かっているけれども、そんな気分じゃない。「3軒目、どうする?」と誰かが言った際には、もちろん手を挙げる。3軒目のメンバーは6人から4人となった。

3軒目メンバーの一人がオススメするフラートン・ベイ・ホテルにあるルーフトップバー、『ランタン』にタクシーで向かう。"行く価値がある場所"と説明を受けたのだが、確かにその通りだった。"あのお馴染みすぎる"マリーナ・ベイの景色なのだから、他の場所と変わり映えしないはずなのに、エレベーターのドアが開いて、目の前に広がるキラキラ光るプールと、その奥に見える『Lantern』と書かれたネオン輝く標識と、あの船の建物を見た瞬間、感嘆の声を自然と上げてしまう。お酒のオーダーをした後、一人散策し、記念撮影をしていると、酔っ払いのフランス人たちから絡まれ、なぜかチョイイケメンの男性との写真撮影をすることに。せっかく撮ってもらったのは嬉しいけれども、後で見たら、ほぼ全ての写真がブレていた。。

夜中2時になる頃、お開きとなり、他の人たちと反対方向に住む私は、一人タクシーに乗り込む。もう一人の女性は完全に酔っ払ってしまったので、誰かに送って帰ってもらうことになった。

家につき、静寂な環境に身を置く。普段お酒を飲まない自分にとっては多すぎる量のお酒を摂取したのに、完全にシラフだ。お酒を飲むときは、いつも誰かに奢ってもらうのみなので、相場を知らないのだが、多分、かなりの金額をお酒に費やしたのだろう。なんだか申し訳なくなる。

そういえば、今日のメンバーの誰かが、私に気がある素振りを見せてたっけ。私、気を持たせる行動を取った覚えないけどもなぁ。私の勘違いだったらいいなぁ。 だって、今日初めて会ったその人は、全然違うんだもの・・・あの人とは。

あの人のことを考えるのは自制し、どうしても返信しないといけない急ぎの仕事に夜中2時過ぎにメールをしてから、歯を磨かずに眠りにつく。

インド時代にそうであったように、もう、豚の鳴き声や、けたたましい車のクラクションの音で目覚めることはない。目覚まし時計も設定していなかったため、自然に起きた時は朝8時半を過ぎていて、予定していたヨガ教室の時間には間に合わないことを確認する。まぁ、想定内だ。

まだ眠いから、2度寝・3度寝をしてしまい、気づけば時間は午後になっていた。外を見れば雨が降りそうな曇り空だったため、家でゴロゴロしていたら、予想通りに大雨となる。まぁ、1時間くらいすれば止むだろう。

昨夜のことを振り返り、やっぱり後悔してしまう。別に変な行動もしていないし、つまらなかったわけではないけれども、生産性のない時間の過ごし方だったと思う。現に、翌朝起きれなくて、午前中を無駄に過ごしてしまったし。1次会が終わった時点で、大人しく帰っていればよかったのに。それができない、自分の弱さが嫌。

午前中の無駄を挽回しようと、雨が止み始めた頃を見計らい外出をする。お気に入りのアラブストリートをブラブラした後、マリーナ・ベイ方面に歩いて向かう。1年に一回マリーナ・ベイで開催される光の祭典『i Light Marina Bay』が今週末で終わるから、急に観光客気分で見に行きたくなったのだ。

プロモネード駅に近いアート・サイエンス・ミュージアムの方面から入り、ラッフルズ・プレイス駅に近いマーライオンを目指して、トボトボと歩く。家族連れや2人組ばかりで混雑した中、一人でいつも以上に華やかにライトアップされた場所を歩くことには、何の抵抗も感じない。

道途中で、フィリピン人ロックバンドの屋外コンサートが行われていたので、他の観客に混ざって楽しんだり、屋台で北海道アイスクリームを買って食べたりしていると、オードリー・ヘップバーン主演の名作『ローマの休日』ならぬ、『シンガポールの休日』を体現しているのではないかと自分の世界に入ってしまう。

オードリ・ヘップバーンがローマのスペイン階段でアイスクリームを食べている時に、恋のお相手グレゴリー・ペッグと再会するシーンがあるのだが、さすがに現実はそう上手くいかない。

でも、その代わり、タイミングよく、日本から電話が入る。 不定期に連絡し合って、無駄話ばかりをする、昔からの友達。

「もしもし、何?」と、プロジェクトマッピングが映されたマーライオンを眺めながら電話を取る。どうやら、最近転職先が決まった彼は、入社日が延期になったらしい。彼の話を聞きながら、海を背にして、あたりを見渡す。シンガポールのシンボル的建造物でもあるフラトン・ホテルの周りには高層ビルが立ち並び、金融会社の名前たちが競い合うようにビルの上でギラギラ輝き、自己主張をしている。これも、よく見慣れた光景。

「それで、そっちはどう?最近、全然面白いこと、やらかしてくれないよね」と、彼が私に尋ねた時には、私はマーライオンの背中の後ろ側にある段差のところに座っていた。ライトショーは一回終わり、次のショーまでの間、マーライオンは休憩をしていた。

彼の言う"面白いこと"とは、私の失態である。うん、そうね、なーんにもやらかしてません。

「えー、つまんない。やっぱり歳とったから?世間体を気にし始めたから?」と、彼。

その通り。大人になったの。無駄なリスクに自分から首突っ込むことは、やめたの。ついでに伝えておくと、今朝、私ちょっと落ち込んでいたの。だから、余計なこと言わないでよね。

と言ったのに、毎回のごとく、私に不安を植え付ける。どうして私は今も彼と友達付き合いをしているのか、本当に謎。

彼との電話中、多分ライトショーは3回は行われた気がする。私の目の前を過ぎ去って行った日本人カップルが、「去年の方が、幾何学模様で綺麗だったよね」と言っているのが聞こえる。

あーあ、もうシンガポールに来て3ヶ月も経っちゃったんだなぁ。なんてアッと言う間だったのだろう。この前、26歳の誕生日を迎えたばかりで、自分はまだ25歳の気分なのに、あと9ヶ月もしたら27歳になってしまう。

歳をとることに対して、まだ自分は否定的ではない。人生は経験(experience)の積み重ねかもしれないけれども、年齢による自分の考えの変化を受け入れることは、実験(experiment)をしているようで、面白い。

でも、まだ覚悟決められない。キャリアウーマン、目指すこと。

電話越しに友達から言われたように、どうせ好きな人から振り向いてもらえないで、今後も一人で生きていかなきゃならないのなら、自分で稼げるだけ、稼げるようになった方がいい。つまり、平社員で満足しないということ。

男女関係なくキャリアアップのチャンスが与えられるここシンガポールでは、自分がそう望めば、努力して結果が出せれば、実現できる。それは、とても良い環境だ。

ただ、もう少し迷ってていいかしら。自分が本当になりたいもの。本当にやりたいこと。悲しいことに、まだ見つからないから。

誰に問うてるわけでもないので、誰にも答えてはもらえない。

その代わりに、しばらく休憩をしていたマーライオンが再びライトアップされ始めたのを目にし、私はその場を立ち去った。





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