2017/06/02

シンガポールライフ半年目:男が涙を見せる時



シンガポールでの暮らしを始めて早半年目を迎えましたが、5ヶ月経ってようやくシンガポールの観光スポットと呼べる場所を訪れました。(今までは、無駄にたくさんのお家を訪問したり、ポンゴルという場所でウェイクボーディングをしたり、近場にあるプラナカン建築物を探索したり・・・とマイナーな事ばかりを体験していました。。)

今月は少し心に余裕ができそうなので、観光客気分で色々回っていきたいなと思っています。

(カジノ行きたい!!)

さて、今日行った場所は、シンガポール国立博物館。どのような歴史を経て今のシンガポールが成り立ったのかをざっくりと学べます。

イギリス植民地時代後の日本によるシンガポール占領についての展示内容を見た時は重い気分になりましたが、ここではそれについては書きません。

もし日本占領時代の展示内容を知りたい方は、例えばこちらをご参考に↓

親日国シンガポールのホンネ。90%以上が日本好き、でも戦争は忘れないhttp://media.myaway.jp/archives/371

博物館で私の中で一番印象に残ったのが、シンガポール建国の父、リー・クアン・ユーによる独立宣言の映像でした。


リー・クアン・ユー、独立宣言演説



恥ずかしながら私は知らなかったのですが、シンガポールの独立は想定外のことで、国民の(少なくともリー・クアン・ユーの)意思によるものではなかったようです。もともとはマレーシアとの合併にシンガポールの命運を賭けていたリー・クアン・ユーでしたが、合併後のわずか2年で、マレーシアに見切りをつけられてしまいました。

そのため、1965年8月9日、シンガポールは強制的に独立をする形になり、リー・クアン・ユーの独立宣言は、シンガポールラジオ・テレビ全てで放送されました。

普通、独立宣言といえば、自由!希望!栄光!発展!等を高らかに謳いあげるもののはずですが、まさかのリー・クアン・ユーはこう言います。

「マレーシアからの独立への合意書にサインをしたこの日を振り返る時はいつも、 苦悩の瞬間("moment of anguish")になるだろう。私にとっては、苦悩の瞬間だ。なぜなら、マレーシアとの統合を信じていた。人々は、地理的も経済的にも密な関係で、親戚関係でもある・・・」

とここで言葉につまり、少しの沈黙が過ぎ、 リー・クアン・ユーは涙を見せるのです。

それは、"失意の涙"と言われています。






休憩を挟んだ後、演説を再開し、先ほどの弱気な発言を払拭するように、リー・クアン・ユーはこう続けます。

「何も心配することはない。いつも通りに事が進みます。ここシンガポールで、私たちは多人種国家を形成します。具体例を作るのです。マレー人の国家でも、中国人の国家でも、インド人の国家でもないのです。誰でも、自分の場所を持てるのです。平等に。言葉も、文化も、宗教も。」

独立を"苦悩の瞬間"と表現し、国民を一旦落胆させた後、未来に向けて希望の言葉を投げかけて持ち上げるというのは、なかなかな演説構成ではないか、もしかしたら、あの涙も演技なのではないか、と一瞬頭をよぎってしまうが、いや、あの涙は本当だと思う。

だって、実際見たことあるもの。大の男が言葉を詰まらせて、涙を流す瞬間。

それは私がインドで働いていた時代、ある男性の送別会でのこと。長期にわたるインド駐在をようやく終わらせ、「良かったですね!おめでとう!」の雰囲気になるはずなのに、その人はスピーチの中で、今までの思い出と周りへの感謝を述べた後、言葉を詰まらせたのです。沈黙は20秒以上は続き、その男性のすすり泣きの声だけが聞こえ、緊迫した空気が周りを包んだ。彼が泣きながらもやっと口に出した言葉は、「(もっと仕事でできることがあったのに)やり残したことがあって、悔しい。」

私は正直、その人がどんな仕事をしていたのかも、何をやり残したのかも知らなかったけれど、彼の悔しさはヒシと伝わりました。その場にいる全員、彼の悔しさと今までの努力とひたむきさを感じたのです。そして、それは感動的でした。

だから、リー・クアン・ユーが"苦悩の瞬間"と題したあの瞬間は、人々が彼の涙を見たあの瞬間は、彼の悔しさと、ひたむきさと、真剣な気持ちを汲み取った瞬間であり、感動的な瞬間だったのではないかと思います。

独立宣言としては異色ではあるものの、とても特別な演説だったと思います。

そして、悔しさで涙を見せる、本当に国のことを考えてくれる首相を持てたシンガポールは、羨ましいです。

男は飲んで、飲んで、飲まれて、飲んで、涙は見せられないようですが、そうですね、基本涙は見せないほうがいいです。

でも、人生に1・2回の涙はすごく効果的かもしれないです。






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