2018/05/24

『ネクスト・ボリウッド・スター』 / "The Next Bollywood Star"




最近、趣味で映画脚本の授業を受け始めました。
たったの4回で完結する、英語で受ける授業です。

すでに2回の授業が終わり、ハリウッド映画の脚本ルールを超簡潔に、猛スピードで学びました。
残り2回の授業では、学んだルールをもとに、自分で脚本のアイディアを出しましょう、といった実践に移るようで、次回は(たった)1分間でストーリー説明のプレゼンをする課題が出されています。

2年前くらいから、ずっと、インドかイタリアを舞台にした映画を作りたいなー、と頭の中で妄想していたのですが、いざ脚本ルールをもとにして、具体的なストーリーを考えるのは難しい。

頑張って思いついた私のストーリーがこれ↓

映画タイトル(仮):
ネクスト・ボリウッド・スター

ストーリー:

29歳のミカは、2年間付き合っている恋人のタケシがインド駐在になると聞き、結婚して一緒に行くことを見据えて、4ヶ月間、ヒンディー語とボリウッドダンスの勉強をしていた。しかし、いざタケシがインド赴任となった時、結婚の話はなく、とりあえずタケシが一人インドに向かう。その後2ヶ月間タケシからの音沙汰がなく不安になったミカは、3週間の有給を取り、インドに向かう。

インドでタケシと再会したミカは、新しい恋人ができたからと別れを告げられる。途方に暮れるミカのもとに、48歳の日本人男性アベが声をかける。「一緒にボリウッドスターを目指さないか?」と。

アベはとある企業のダイレクターとしてインドに3年間在住、もうすぐ日本帰任の予定だったが、彼は密かにボリウッド俳優になる夢を持っていた。 優勝すれば映画出演が約束される、『ネクスト・ボリウッド・スター』というオーディション番組に応募をし、2週間後にムンバイで行われる本選への出場が決まっていた。ミカに素質を見出したアベは、優勝してボリウッドスターになれば、恋人を取り返せるはずだと持ちかける。

最初は全く乗り気でなかったミカだが、オーディション用のダンス練習の日々を通して、徐々に自信を身につけていく。頑張るモチベーションも、恋人を取り返すためではなく、ボリウッド女優になるためと変わっていく。

オーディション当日。決勝戦でミカとアベは惜しくも敗れる。が、後日、審査員の一人だった映画プロデューサー、カラン・ジョーハルからミカのもとに、彼の新作への役オーディションに来て欲しいと電話がかかる。そこで役を獲得したミカはボリウッドスターへの道を歩むことになった。


というお話(笑)

ぜひ、この映画を見てみたい!とか、もっとこういうストーリーがいいんじゃない?とかあれば、ぜひコメントください。本気で、絶賛募集中。

何でこんなストーリーを思いついたかというと、私はハッピーなミュージカル映画とか、インド映画とか、オーディション番組が大好きだからです。

『ネクスト・ボリウッド・スター』という番組は、架空のものですが、実際インドでも、インド版『Xファクター』とか『ヴォイス』とかのオーディション番組が放送されています。 (私はYouTubeでしか見たことないけど)どうして、日本では煌びやかな素人参加型のオーディション番組がないのかなぁ。。

で、カラン・ジョーハルは実在する人物。映画監督・俳優・プロデゥーサーとマルチタレントな、まだまだ40代半ばの方です。個人的に、彼の初期映画作品が好き。

カラン・ジョーハルが手がけた初期作品『Kuch Kuch Hota Hai』

架空の人物、ミカ&アベの年齢は正直何歳でもいいんだけど、女性にとって『30歳』というのは意識する年齢らしいので、ミカの年齢は29に設定。そして、アベの年齢は・・・

イメージが俳優の阿部寛様だから(笑)


実際彼の年齢は50ちょいらしいけど。若干若めに設定。

こんな風に自分の妄想を脚本にすべく、浮かんだシーンは文字に起こしてますが、実際に文字にして読むと恥ずかしくて堪らない・・・

でも、頭の中に閉まっていた時よりも、色んなアイディアが新たに出てくるので、結構楽しいです。

ちゃんと勉強して、脚本書き上げてみせる!!





2018/04/17

味方してくれる家族の重要性をインドで学んだ




「私の息子はゲイなの!」


声高らかに、快活にそう口にした、かつて私がインドに住んでいた頃の大家さんを、数年経っても忘れられない。


My son is a gay!と言った、当時70代くらいの、肌が白くて、年齢相応に見えない若々しさのチャーミングなインド人女性。


別に私が、息子さんは結婚してるの?と聞いたわけでもない。


ただ単に、私が借りてる部屋の下に住む大家さん家でチャイをご馳走になっていた際に、大家さんが家に飾っている家族の写真に写ってる次男について説明してきたのだ。


「この子は、今イギリスの投資銀行で働いていてね、イギリス人の男性と付き合ってるのよ〜」とニコニコしながら。


私は「へ〜、そうなんだー」と相槌しながら、内心ちょっとビックリした。社会的に同性愛が受け入れられていないインドで、かつ、身内に同性愛者がいたら、親戚全員で折檻するとか、世間からその事実を隠そうとするとかがある、とニュースか何かで読んだことがある中、一方の大家さんは全然何とも思っていない。


ありのままを受け入れて愛してくれる、偉大なる母、それが大家さんだった。


そんな大きな愛情を注いでくれるお母さんのもとで育った息子は、"ものすごくいい人"に育つ。


大家さんの長男はインド在住なので、私も何回か会ったことがあるが、インド人にしては、ものすごくおっとりして、ほんわかした印象。ママ大好きっ子で、頼り甲斐のある奥さんも大好きな愛されキャラだ。


大家さんの家族は、どちらかというとハイステイタスな家庭だから、同性愛も受け入れる先進的な考え方なのかしら、と思っていたら、長男の奥さんは、ちょっと受け入れてはいない様子だった。


「夫の弟はイギリスにいてね・・・まだ結婚していないのよ」と、ちょっと気まずそうに説明。でももちろん、あっけらかんとしている義理母の前では、何の小言も言えない。


この一件で、世間体は関係なしに、自分の味方になってくれる存在が家族にいることがどれだけ素晴らしいのか、家族のコミュニティーの強さがインドの強さだと、私は再確認した。(とてつもなく辛かったインド生活で、良い学びとなった一件が、これ。)


何でこんなことを今更書いたかというと、最近、インドに関するこんなニュース記事を読んだから。


子供のころの性虐待……大人になってから訴追できるように インド女性の闘い
 http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-43616314


カナダに移住した53歳のインド人女性は、インドで過ごした幼少期に、親戚(いとこの夫)から性的虐待を受けていたものの、その当時はそれが虐待だとも認識できず、家族に相談することができなかった。

しかし大人になり、カナダで見た性的虐待についてのTV番組を見た際に、それが性的虐待だったこと、そして自分と似たような経験をした他の人もいることを知り、勇気を出して家族に打ち明ける。

カナダに一緒に移住した兄を筆頭に、家族は女性の味方になり、加害者の親戚とは縁を切った。

現在のインドの法では性的虐待の加害者を裁くには、事件があってから3年以内に通報することが条件となっているが、この一件で女性は、虐待加害者による再犯を防ぐため、子供時代の被害を成人してから通報できるようにする法改正を求めるよう声をあげている。

加害者が身内である場合は、インドに限らず、どこでも、どの時代でも珍しいことではない。(『ライオン・キング』の悪役も、主人公シンバの叔父だった。)


この性的虐待を受けたインド人女性の不幸中の幸いは、家族・親戚が味方になってくれたことだ。記事の中に登場した、女性の一番上の兄のように世間体を気にして、加害者に対してではなく被害者に恥を感じる人たちばかりの家族だったら、女性はさらに辛い思いをしたに違いない。


家族というコミュニティーが強く、それが正しい方向に機能した場合、それがセーフティーネットとなる。


そしてそれがインドの強みである証拠は、ニュース記事にある通り、被害者が社会の中で声を上げると、賛同者が多かったり、性的虐待への抗議デモが起きたりする。(インドの抗議デモは大抵、かなり大きい規模になる。人口全体の何%かはおいておいて。)


法改定への賛同者やデモ抗議への参加者たちは、きっと家族の誰かが被害者になったり、社会的に弱い立場になったりしても、絶対に味方になってくれるに違いない。自分をサポートしてくれる家族がインドには多いし、それがインドの強みだ。


それを考えると、日本の家族の存在はそこまで強くないのかもしれない。


例えば、日本の"#MeToo"先駆けとなった、仕事上の知人から強姦されたことを告発した伊藤詩織さんには、賛同の声と同様(かそれ以上)に、世間からの批判を受けたらしい。


日本でも「#MeToo(私も)」の声 伊藤詩織さんの話
http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42526640


「自分が同じ目にあったら・・・」となかなか想像するのは難しいし、もしかしたら、他人のことを考えてあげるほど自分に余裕がないのかもしれない。むしろ、自分のことを考えてほしい!って。


被害者を批判する人たちの中には、本当に共感できなくて批判している人もいるかもしれないけれども、それ以上に、自分のことを共感してくれる、何かあったら味方になってくれる身内が周りにいないのかもしれない。日本の家族って、どちらかというと希薄だから。


私のインドでの実体験をもとに推測してみると、だけど。


家族が安心できる場所だったら、たとえ周りから批判されてもどうってことない。 心に余裕ができるから、自分も周りに寛容になれるのではないか。


もちろん残念なことに家族が恐怖の場所になり得ることもあるので、その場合に、社会での居場所が必要なので、社会全体でのより良い仕組みが重要になってくるけど、仕組みが変わるのは時間がかかるから、それだったら、もっと家族の関係性をよくすることに重視したほうが良いのではないかと思う。

 
最後に。


インドで知り合ったどこかの日本人がこんなことを言っていた気がする。


「インド人の同僚が、『世界中で唯一信用できるのは家族だけだ』と言っていたけれど、家族しか信用できないって、それはちょっと問題なんじゃないか」と。


私は、信用できる家族がいて、そのインド人は幸せだと思った。




2018/03/17

洋楽で英語を学ぼう / 【52万5600】をパッと英語で言えますか?






52万5600分
52万5600の大切なとき
52万5600分
1年をどうやって図る?


と印象的な出だしで始まるミュージカル『RENT/レント』の目玉曲である『シーズン・オブ・ラブ』。キャストたちが一列になって歌うこの曲は、観客の心を揺さぶります。

1年が52万5600分だという事実を初めて知った方も多いかと思いますが。。。

算数の勉強ではなく、英語のお勉強を。


【52万5600分】を英語でなんというでしょうか?


チクタク、チクタク・・・・・


正解は。


Five hundred twenty-five thousand six hundred minutes


です。

あー、長い。

カタカナで書いてみると・・・

ファイヴ・ハンドレッド・トゥウェンティ・ファイヴ・サウザンド・シックス・ハンドレッド・ミニッツ!!!!


きゃー、余計に長い!!


でも、この長ったらしい英語も、歌ではさらりと歌われているんですよ。

では聞いてみましょう。

【映画版『RENT』】



【日本語版ミュージカル『レント』】



ね。


多分、1〜1000くらいは皆さん、ちゃんと学校の授業を覚えていればパッと言えると思うんです。

1 : One
2 : Two

飛ばして、飛ばして・・・

10: Ten

超飛ばして・・・

100 : One hundred

さらに飛ばして・・・

1,000 : One thousand

で、この後は・・・

1万、になるのですが、万、十万単位は、千単位の thousand を大いに活用します。

1万は、1000の10倍なので、

10,000 = Ten thousand

そして10万は、1000の100倍なので、

100,000 = One hundred thousand

になります。

(基本的に、数字単独を表す際には、複数形のsとかがつくことはありません。もちろん例外はありますが・・・)

これ以上になると、

1,000,000 (100万) = One million

10,000,000 (1000万) = Ten million

100,000,000 (1億) = One hundred million

1,000,000,000 (10億) = One billion

になります。

(注目ポイントは、コンマの位置♡)

以上を頭に入れておいて、【52万5600】を英語にしてみましょう。

ここで使う一番大きい単位は thousand ですが、どこからどこまでを thousand にしましょう?


答え:52万5000まで。

日本語だと、52万と5600で区切られていて紛らわしいですが、数字にすると 525,600 。

ね、コンマが52万5000と600を区切っているでしょ。


そんなわけで、まずは、

52万5000 = 1000 × 525 =  Five hundred twenty-five thousand

で、残りの600。

600 = 100 × 6 = Six hundred

2つを繋げると、

52万5600 = Five hundred twenty five thousand six hundred


ふ〜、できた。

で、この52万5600の数字は、1年を分刻みで表した数字だから、

52万5600 =  Five hundred twenty five thousand six hundred minutes

(minuteは複数形になります)


もぉ〜、単純に1年 ( a year ) って言えばいいのに!なんで、わざわざ分刻みで表現しちゃうのよ⁉︎と言いたくなるところですが、

ミュージカル『Rent / レント』のテーマは【この一瞬一瞬を生きる】なので、分刻みにすることで、よりその瞬間の時間の大切さを感じさせてくれるんですよね。

それで、この 【52万5600分】をどう図ろうか?と歌っているのですが、これがもう、全部暗記したいくらい素敵なのです。(というか、全部暗記した。)

日の出の数、日の入りの数、夜中の数、コーヒーの数で・・・

と、日常の中の何気ない、でも素敵な瞬間で時間を図ろうと歌いながら、最後は結局、

ハウ・アバウト・ラーーーーブ!!!!

となるわけです。

ゴスペル調で、How about love?と言われたら、もはやそれは、「愛で図るのはどう?」なんて質問形ではなく、「愛で図ろうぜ!!」という気迫を感じちゃいます。


ま、嫌いじゃないけど。


むしろ、この曲、大好きです。 






2018/02/20

バスタブのない日本生活




かつてお湯に浸かる習慣がないインドに住んでいた私は、5分後にはお湯から水に変わるシャワー生活に耐えられず、ある日バスタブを購入する旅に出かけ、ついにバスタブのある優雅な堕落生活を送っていました。(←大げさな。)



それなのに、次に引っ越したシンガポールでは、バスタブのないストレス生活を送る羽目になったのです。しかも、シンガポールでも、シャワーのお湯はすぐに水に変わる状況。ポカポカお風呂とは無縁。優雅な堕落生活なんて、ありえません。


だから日本に帰ってきて、東京で一人暮らしをするにあたって、浴室にはこだわりたかったんです。猫足のバスタブとか、 ガラス張りのお風呂場があるお部屋を探したかったんです。


ガラス張りのお風呂場って、と笑っちゃうでしょ。でも、どうせ誰も家に招かないんだから、徹底的に、非効率的で非生産的な空間が欲しかったんです。


こういう猫足バスタブね


残念ながらタイミングが悪く、素敵な浴室のあるお部屋には出会えず。


その代わりに今住んでいるのが、バスタブのない、シャワーとトイレが一緒の空間になっている、地上1階のスタジオルーム。でも、部屋の作りに無駄がないので、意外と気に入ってます。


きっと私は、バスタブの中で過ごす時間よりも、無駄を省いた効率を選んだのでしょう。どうやら私は、東京のあくせくした環境に影響されたようです。


15平米もないお部屋なので、ベッドからキッチンまでの距離は1.5mで、ベッドからバスルームまでの距離は50cmほど。


家具は、まさかの鏡とベッドしか置いてなくて、テーブルも、ワードローブもありません。無駄に置くと、部屋が本当に狭くなるのです。だから、服は突っ張り棒を使った、完全な見せる収納だし、そもそも、服とか物とかもそんなにありません。靴は3足しかないし。


部屋のオブジェといえば、ベッド側の壁に掛けられた、シンガポールのラッフルズ・ホテルで販売されていた可愛いポストカード4枚(その内の1枚は、お友達から頂いたもの)と、ギリシャで買った手刺繍のクッション2枚、窓際に置かれた、愛読書のアントニオ・タブッキ著『インド夜想曲』
クシュワント・シン著『首都デリー』くらい。




テーブルがないので、誰も見ていないこと良いことに、食事はベッドの上で。エアコンの効きが悪くて、冬は部屋が寒いから、ベッドの外には出たくないしね。これだけは、かなり堕落している感じで、好き。


こんなイメージ(あくまでも理想)


肝心のお風呂は、どう長く入っても、15分が限界。マツコ・デラックスが、シャワーを1時間くらい浴びてるって、ある番組で言ってたけど、どうすればそんなことできるのかしら。それにしても、ずっとシャワーからお湯が出続ける日本って、素晴らしすぎるわ。


実は日本に帰ってきて、困っていることがあるんです。東京の空気の匂いに慣れないんです。特に、家の近くにある図書館の中とか、満員電車の中でのにおい。だから家に帰ったらすぐにシャワーを浴びるのですが、どうしても恋しいものがあるのです。


それは、インドのコスメブランド、Forest Essentialsのハニー&バニラの香りがするシャンプーとコンディショナー。日本では見つからない、香りが強いプロダクトで、定期的に使用すると、ずっと自分の髪から甘い香りがするので、香水のように愛用できるのです。


https://www.forestessentialsindia.com/


Forest Essentialsの商品は日本からでも個人購入できるので、買おうと思ったのですが、まさかそのハニー&バニラの香りのシャンプーが廃盤になったのか、1年ほど前から、ハニー&ムレティに変わったんです。


ムレティって何なのよ?バニラはどこへ消えてしまったの?


そんなわけで、もちろん私のシャワー室にはForest Essentialsは不在で、代わりにインドネシアで購入したハニーの香りのボディーソープさんがいるのですが、なかなか本領発揮してくれないのです。とにかく、私はハニー&バニラ・ロスなのです。


不幸中の幸いなのか、Forest Esssentialsのボディーソープでは、まだハニー&バニラの香りも販売されているので、ボディーソープだけでも輸入しようか真剣に検討中。


さて、髪を洗っても何の香りもしない寝ぼけた頭のまま、平日の朝、わざと遅めに家を出れば、ドアを開けた目の前に公園があって、そこでよくお年寄りの方を見かけます。


例えば平日の朝9時に、子供が遊ぶ公園で、白髪の長髪を一つに束ねた60は過ぎているであろう女性がベンチに座って、遠い目でタバコを吸っているんですよ。私はこういうシュールな光景を日本で見る機会が今までなかったので、急ぎ足で駅に向かいながらも、ついつい好奇心でそういう人たちをチラ見してしまいます。


公園が本来の機能を果たしているとわかるのは週末の特に夕方で、ここ最近は、どこかの小僧か小娘が吹く下手くそなトランペットの音を毎週聞かされています。(これが実は大人が吹いていたら、ちょっと笑えます。)上手に演奏ができるようになったら、誰がトランペットを吹いているのか、家のドアを開けて、公園を確認しようと思います。






2018/02/15

義理チョコと本命チョコの区別はハッキリさせておいたほうがいい:『未必のマクベス』




2月14日はバレンタイン・デー。


今この文章を書き始めた時点では、あと数時間で日付が変わってしまいます。


チョコレートをあげた方も、あげる相手がいなかった方も、もらえた方も、もらえなかった方も、もらえなくて寂しいくせに、「元々チョコには興味ねぇ」と粋がっている方も、本当に、チョコの存在に気に留めていない方も、いかがお過ごしでしたでしょうか?


チョコをくれる/あげる 相手がいなかったあなたへ。もしかしたら、そっちの方がいいかもしれないですよ。だって、未然に悲劇を防げたのかもしれないですから。

『未必のマクベス』早瀬耕 著




※ネタバレ含みます。

書店で大々的に宣伝されていた早瀬耕著の小説『未必のマクベス』。宣伝Popにはこんな風に書かれていました。


『単行本刊行時、こんなに素晴らしい物語を多くの方々にお届けできなくて大変申し訳ありませんでした。』
『初恋の人の名前を検索してみたことがありますか?』
『たとえその先に破滅があるとわかっていても、出会わない人生なんて選ぶことができない。』


ラブストーリーが好きな私は見事に心引かれたのです。そして、見事に騙されました。だって。。。


これは恋愛小説なんかじゃない!!!!!!


つい最近もCMで騙された体験をしましたが、早2度目です。そして、きっと周囲はそれは私の問題だと言うでしょう。「事前情報をちゃんと読み取っていない君が悪いでしょ」と。


確かに、 『未必のマクベス』は、よくよく考えてみたら、出版社はハヤカワ文庫だし、犯罪小説ってどこかの広告に書いてあったかもしれないし、本のタイトルも(シェークスピアのマクベスのような物語な感じだけど〜必ずしもそういうわけではないよーん)と示唆しているけど・・・そんなの気づかなかったもん!タイトルの意味なんて考えなかったもん!


だから、とりあえず(書店が謝るほどの恋愛小説)という認識で2月13日に本を読み始めて、夜更かしして14日のバレンタインデーを迎え、明け方に完読した頃、ハッキリわかりました。本当に、本の内容は、タイトルそのままだって。私が期待していた恋愛ネタとはジャンルが全く違うって。


『未必のマクベス』でも主要人物となった、シェイクスピアのマクベス登場人物は3人。マクベス、マクベス夫人、バンコー。


マクベスとなるのは、『未必のマクベス』の主人公・中井裕一。日本大手IT企業の香港法人の代表取締役に就任して以来、人の欲望・金・会社の陰謀が潜む巨大な事件に巻き込まれ、自らの意志とは関係なく、まるでシェイクスピアのマクベスのような状況に陥っていきます。


さて、シェイクスピアの『マクベス』では、悲劇は、マクベスが3人の魔女から「「万歳、いずれ王になるお方」と予言を託されてから始まります。


その予言を耳にしたマクベス夫人は、マクベスに現王を殺してしまえと、そそのかし、マクベスは王を殺して、自分が王座につきます。


ついでに、マクベスは暗殺者を仕向けて、友人のバンコーも殺します。なぜなら、魔女の余計な追加の予言によると、バンコーはマクベスの次期王となる父親らしいのです。残念ながら、バンコーの息子は暗殺者の手から逃げました。


その後、マクベス夫人は精神疾患の末自殺をし、マクベスは仇打ちで、帝王切開から生まれてきた者に殺され、次期王にはバンコーの息子が就任し、3人の魔女の予言通りになったのでした。


というお話。


魔女の予言と言えば・・・バリでこんなこともあった:
http://www.topsee-tips.com/2017/10/bali-palm-reading_29.html



で、現代版マクベスと呼ぶには違うけど、遠からずな『未必のマクベス』でも、殺人が何回も行われます。しかも、舞台は何百年前のスコットランドから、現代の国際金融都市香港に移り、王となるものが狙うのも領土ではなく会社になるわけですよ。


現代×金融都市×会社 っていうだけで、OL経験のある私は現実的すぎてゲンナリしてしまうのに、そこに殺人が追加されるんですよ。あぁ、会社がらみの殺人事件って、シェイクスピアの悲劇よりも悲惨だわ。


実は私、シンガポールに住んでいたことがあるのです。シンガポールも香港と同じで、一応国際金融都市と呼ばれているんですよね。私はシンガポールを舞台にした小説を探していて、橘玲著の『タックスヘイブン』という本に出会ったんです。 犯罪小説・経済小説だと知りながら読みましたが、それでも落ち込んじゃいましたもん。「シンガポールって怖い場所じゃん」って思いました。





『未必のマクベス』が好きな方は、きっと『タックスヘイブン』も好きになると思います。同じアジア舞台だし。スリル満点だし。でも、私は犯罪小説自体が好きになれません。


ここまで書いておいて、私がバレンタインデーのことを忘れていると思いのあなた、ご安心を。


今ちょうど、日本ではバレンタインデーは昨日のことになりましたが、ここでバレンタインデーのお話をしますね。


『未必のマクベス』の主人公・中井は、30代後半独身、年上の彼女持ちなのですが、心の中でずっと思い続けている女性がいるのです。


それは、20年ほど前、同じ高校の同級生で、3年間ずっとクラスが偶然一緒だった鍋島という女子。高校1年生のバレンタインデーの日に、中井は鍋島から2つのチョコレートを渡される。1つは、鍋島が友人から託されたという中井への本命チョコ。もう1つは鍋島からの「義理」チョコ。


実は、鍋島の義理チョコは本命チョコで、所謂女子の恥ずかしさにより思いを伝えられなかったのです。鍋島を気になりながらも、結局は最初から本命チョコと分かっていた鍋島の友人と付き合った中井なのでした。


若気の至りの思い出で終わればいいんですよ。でも、小説の世界だからそうはいかないんです。中井はなんだかんだ鍋島のことを忘れられないんです。その証拠が結構気持ち悪くて、パソコン上のパスワードを全て鍋島の名前に関する文字で設定してるんです。20年間も。


一方の鍋島はどこかに失踪中なのですが、あのバレンタインデーに気づいてもらえなかった気持ちを中井に気づいてもらって再会する日を待っているんです。


この再会への望みのせいで、中井は事件に巻き込まれ、端から見るととんだ目にあうわけです。


もちろん、ある物事が起こるのは偶然の重なりの上で、別にバレンタインデーのチョコを義理なのか本命なのか区別できなかったことが、事件の直接的なきっかけになるわけではないのですが、偶然の一つとして原因となったということならば、逆に言えば、その偶然の一つがなければ、その後の事件も起こらなかったわけです。


チョコレートを受け取ったあなた、今後の将来のために、念のため、白黒はっきりつけといたほうがいいですよ。特にあなたが想っている本命の相手からのチョコレートの場合は。


それから、チョコレートを義理だと嘘ついて、本命に渡したあなた。今からでも遅くないので、ケジメつけたほうがいいですよ。だって、自分が好きな人が、将来何十年にも渡って自分の名前をパスワードに設定するストーカーになったら、嫌じゃないですか。


何事も、念には念を。


なんてね。




P.S. 私がバレンタインデーを過ごしたい場所は、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の舞台となったイタリア・ベローナです。




2018/02/12

男からのこんなTinderメッセージは嫌だ




Twitterに彗星の如く現れた(そして消えたの?)「暇な女子大生さん」の影響で、今では多くの日本男性たちがマッチングアプリのTinder(ティンダー)を使っているようですね。

でも私(女)は、TinderがTwitterで話題になる前から使わせてもらってました。2015年くらいから。

個人的に使い勝手とか、自分とアプリの相性(?)は日本の大手マッチングアプリのPairs(ペアーズ)よりはTinderがなぜか昔から合うのです。

まぁ、これは偏見かもしれないですが、長々と自分語りする男に魅力を感じないのです。

Pairsって、自己紹介を大切にしてるじゃないですか。多分、皆さん忠実にテンプレートに沿って、一生懸命、仕事のこととか趣味とか自分の性格について書いているんでしょうね。

でも、ウザいー!!と思ってしまうんです。ごめんなさいm(__)m

なんか、ものすごくコダワリがあってメンドくさいタイプなのかなー、とか、そんな自己アピールして実際とのギャップが激しかったらどうするのかなー、と、物凄く日本的な考え方をしてしまうのです。はい。

なので、語る男が多いPairsよりも、顔(もしくは体?)で勝負する男が多そうなTinderの方が私は好きでした。

好きでした、という過去形←

Tinderは登録したり解除したりを繰り返していたのですが、最近は全然右スワイプしたいと思うイケメンがいなくてガッカリしております。

それに、学歴とか勤務先をこれ見よがしに表示する男や、趣味について長々と書いている男も多く、もうウンザリです。

学歴・職歴に頼る男には興味がないので、よほどイケメンでない限り、ビヨンセ並みに、To the left, to the left(左へ、左へ)です。

ビヨンセ『Irreplaceable』



あと、胸がはだけてる写真の人も、To the left, to the leftです。素晴らしいマッチョでもね。

2・3年前は、自分と同じ境遇の海外経験者とか意外と多かったので、そういう人たちに対してLikeをし、何人かと会ったりしました。そのうち、普通に良い人だったのは、2人かな。普通に、っていうのは、害がないってこと。

今はあまり海外経験者が画面に登場することが少なくて、出てきてもなんか普通のおじさん、って感じなので、無難に若いイケメンを探しています。

それでもなかなかいないので、清潔感のある、"無難な"男性とマッチします。

で、今回のタイトルへと繋がるのです・・・うっ、ふっ、ふ。

 まぁ、最初に私からメッセージを送ればこんなことにはならないかもしれませんが、こんなメッセージを男性から最初に送られると、即解除します。

①「こんにちは」「初めまして、○○です」系の挨拶。

これは・・・私個人の問題なのかもしれないですが。。

挨拶自体は確かにいいと思うんですが、挨拶だけのメッセージを送るのって、無駄じゃないですか?

知り合いから挨拶だけのメッセージをもらうのだって、私は嫌です。ちょっと私の脳が男っぽいのでしょうか。

朝にLineで一言、「おはよう」とかきた時に、だから何?って思ってしまうタイプには、この挨拶メッセージは無駄以外の何物でもないです。

お前はインド人か!ってツッコミたくなります。

なんで急にインドが出てきたか知りたい方は→
http://www.topsee-tips.com/2016/01/uncomfortable-expression.html

 ②「何目的で使ってるんですか?」と質問してくるメッセージ

最初のメッセージでも、途中のメッセージでも嫌です。あと、「遊びたいんですか?」とか「遊びましょー」とか系もここに含めます。

「何目的?」って聞く人って、「アレ目的」って言ってほしいんですよね、きっと。私はソレ目的でもないし、もしソレ目的だったら、それこそ、マッチョな男にしか右スワイプしないと思います。無難な見た目のあなたになんか・・・(これ以上は放送禁止♡)


③長文メッセージ

幸いなことに、私は一度も長文メッセージをもらったことはないです。長文を送ってきそうな人とはまずマッチしないので、それは良いことです。でも、もしもらったら・・・即サヨナラですね。

 最近は①②が多くて、実際会ってもいいかなと思う人が全くいないので、一旦は退会しました。まぁ、また気が向いたら登録して、幻滅して退会して・・・の繰り返しになりそうですが、頑張って現実世界で良い人探します!


(それが一番ですよね、やっぱり。。。)


ちなみに。


『暇なJD・三田まゆ~今夜、私と“優勝”しませんか ~』というドラマが放送されていたみたいですね。話題だと耳に入ってこなかったので、予想では、面白くなかったのでしょう。。

『Tinder日記』みたいな、実際Tinderであった男の生態をオムニバス式でドラマ化したら面白いと思うのですが。監修は、東京カレンダーさんで。

東京カレンダーのファンです→
http://www.topsee-tips.com/2017/11/walking-tour-with-shoshaman.html

実は、インドでTinderを通してのダメ男たちとの出会いを超ショートストーリーでまとめたYouTube動画があるのですが、爆笑ものです。

『Tinder in India』



タイトルは、『インド生活の一幕:Tinder in India』。実話を元にしたストーリー。

インド・ムンバイ在住のリカ、現在独身。「友達に勧められたから、面白い人に出会えたら良いなと思って。」

そして彼女はTinderを通して次々と男性とデートをするのですが。。。出会うのはこんなダメ男たち。

①Dad Man - パパの男:パパの自慢ばかりするダメ男。デートにはパパが隣に・・・!

②Chest Hair Man - 胸毛の男:「胸毛を剃ってメッセージを書いた(文字を書いた)んだ」という謎の男。

③Bengali Man - ベンガル男(ベンガル=インドの地域名):「人生は無意味なんだ」と語る根暗男。

④Thief Man - 盗人男:リカの携帯を盗む。

⑤Airline Man - フライトアテンダント男: フライトアテンダントのくせに、ヘルシンキがどこか知らない

⑥Impossible to Explain Man - 説明不可能男: (最高の名付け方!とにかく動画をみてください!)

⑦ Punjabi Man - パンジャブ男(パンジャブ=インドの地域名):マシンガントークが止まらなくて、リカも引いてる。

⑧ Mutual Fund Man - 投資信託男:デート中に投資信託を勧める


ダメ男たちに幻滅したリカ。あー、もう嫌だわー、ってところに・・・


⑨ Good Man - 良い男:「僕の人生はつまんないさ。でも、君のはすごく面白く見えるよ。君の話を聞かせてくれ。」

女性の話を聞いてくれる男が、良い男、っていうオチですね。

世界共通なのでした。






2018/02/11

『ラ・ラ・ランド』のフィナーレのような感動を:"ど田舎"が舞台の映画『SR サイタマノラッパー』





※ネタバレ含むのでご注意を。


音楽をテーマにした映画が好き、さらにサクセスストーリーが好きな私は、Amazon Prime上で最近追加された『SR サイタマノラッパー』という、聞いたこともない、でも、どうやら公開時には自主映画として流行ったらしい映画をなんとなく観てみたのです。


だって、ポスターには、『アメリカまで、8000マイルー』と書かれていて、予告編でも『サイタマの田舎でラッパーを目指す青年たち』というキャッチコピーが出てきたり、登場人物が『ここサイタマから世界に向けてソウル・トゥ・ソウル メッセージ送ってんだよ』とか言っていたんですよ。しかも軽やかなヒップホップ音楽に乗せて。


映画『SR サイタマノラッパー』予告編



だから、"ダサイタマ"で活動しているしがないラッパーたちが、映画の最後にはアメリカのイベントなんかに参加して、 自分たちの実力を見せつける、素晴らしく豪華なエンディングを期待したわけです。


で。。。


見事に裏切られました。


予備知識がない状態で映画を観ると、こういうことが起こってしまうんですね・・・と思うほどの衝撃。


でも、"豪華"とは程遠い、『SR サイタマノラッパー』のエンディングは、まさかのあのロマンティックなエンディングで観客を感動させた(あれをどう思わなかった人もいるらしいけど・・・無視!)『ラ・ラ・ランド』を彷彿させるような・・・


大丈夫か、私?!


とりあえず、自分を納得させるように、つらつらと『SR サイタマノラッパー』について書いていきます。


【あらすじ】
※完全ネタバレ注意。
※ネタバレ嫌な方は、先に映画を観ましょう。




ダサイタマの"超ど田舎"、若者にとっては閉鎖的な場所フクヤで、ニート中の若者、かつ、ぽっちゃり君のIKKU(イック)は、男子6人で構成されたヒップホップグループ“SHO-GUNG”のメンバーとして活動、ラッパーとして活躍することを夢見ていた。


でも、この"SHO-GUNG"メンバー、各それぞれアルバイトや家業など日々の生活の稼ぎに重きを置いて、本格的な活動はしていない様子。ニートのIKKUだけは暇だからか、それとも一応本気だからか、「ライブを開こうよ!」とメンバーに提案し、主に一人で準備を始める。"フカヤ伝説のラッパー"と言われた病弱な先輩に音楽制作をお願いしたり、自分で詩を書いてみたり。市役所が開催した『若者との交流会』に、"SHO-GUNG"メンバーのTOM(トム)とMIGHTY(マイティー)と共に参加しラッパーを披露したり。(でも実は、その交流会は、ただの安定した職を持つ大人たちのフリーター・ニートの若者たちへの批判の場であったというオチ。)


ある日、イックとトムの元同級生の女子、千夏が地元フクヤに本屋の店員として戻ってくる。実はこの元同級生は、高校中退した後、東京に上京、AV女優になっていた。そのAV女優がフクヤに戻ったとなり、コミュニティーが狭い地域では、ちょっとした話題に。"SHO-GUNG"のトムとマイティー以外も興味を示し、元同級生だったイックに千夏と引きあわせるようにせがむ。


実は千夏が好きだったイック、珍しくメンバーに歯向かう。そして実はメンバー内にもカースト制があったようで(イックとトムが下に見られていた)、これを機にメンバー内の亀裂が明らかに。急展開な仲間割れの後、イックとトム以外のメンバーはプロを目指して東京に上京する。


千夏もフクヤに見切りをつけ、またどこかへ旅立ってしまった。 残されたイックとトム。どうやらトムは夢を諦めてしまった様子。2人も離れ離れになった。


そしてどれだけの日数が経ったかは定かではないが、イックは居酒屋でアルバイトを始めた。その居酒屋にやってきた4人組の客の中になんとトムもいた。


嫌々仕事帰りに同僚に誘われて居酒屋に来た様子のトムに気づいたイック。そしてイックに気づいて気まずそうなトム。それに気がつかずにビールを頼むトムの同僚たち。


ビールの注文を他スタッフに伝えるため後ろに引っ込んだイックだが、ここでまさか、まさか・・・


ラップを歌い始める。


トムに訴えるため。「夢は捨ててないぞ」と。


ざわざわするお客さんたち。俯いたままのトム。でも、まさか、まさか、「聞いてんのか、トム」と歌うイックに反論する形で・・・トムもラップを歌う。「腐った夢、格好悪い。」


「めげるな」とイック。どうしてもまたトムと夢を追いたいらしい。


「SHO-GUN 勝負中 今はネクストステージ行く途中。。。無視するな!カモン、トム!」と。(ラップで。居酒屋で。)


遂に、イックの方を振り向くトム。


さて、ここで出したトムの答えは・・・


と、いいところで、エンドロール。


あー、不覚にも長々と完全ネタバレをしてしまった。。汗


2009年に公開され、数々の映画祭で受賞を果たしたこの映画。裏情報なしで観てみると、ツッコミどころは多々あります。


CMでは編集のおかげでテンポよく話が展開している感じだったけれど、実際はなんか間延びしている感じがあるのです。シーンごとの強弱がないというか。シーンが変わる時の切り替えもちょっと不自然かなぁと思ったり。


致命的なのは、登場人物が何言ってるのかよくわからない箇所が多々あったこと。特にラップのシーンで何言っているのかわからなかった。


そして何よりも!


CMからの勝手な先入観で、絶対に最後はアメリカでラップを披露するシーンがあると信じていた私は映画終了10分前になっても主人公IKKUが成功する様子もない、むしろ夢破れてる感じで、どうアメリカに繋げるのだろうと不思議で仕方がなかったところに、あの居酒屋シーンですよ。


ずっこけました。(←いや、それはあなたの勝手な妄想のせいでしょ、と言われても仕方ないです。)


予想外の展開にあっけを取られた上に、イックのラップも何言ってるかよく理解できず、(「カモン、トム」が「カトン(=シンガポールにある地域名」)に聞こえた。)最初は「ほー」というなんとも言えない感想で映画を観終わったんですね。


でも、なんかモヤモヤして、翌日もう1回、居酒屋シーンを見たのです。


もう、号泣。


(※ここからは、あなたがすでに『SR サイタマノラッパー』を観た前提で感想言います。)


どの登場人物に共感を寄せるかで、受け止め方って色々違ってくるかと思いますが、私は最後のシーンでは、イックではなくて、トムに共感してしまったんですね。


イックは結構真っ直ぐで良い子なんです。おデブちゃんでも、ニートでも、ラッパーになるための努力もそんなにしてなくても、色々葛藤していても、なぜか前向きで希望を捨てていないのです。そのひたむきさに、おばちゃん、感動。


一方のトム。彼は意外と世間体を気にしているタイプなんですね。例えば、市役所関連イベントでジジババたちからイジワルな質問をされている時、ちょっと自分はマトモだと思ってほしくて、「バイトだけじゃなくて、個人的に株の勉強をしている」なんて嘘ついちゃったりして。なんとなく世間に馴染んで、"一般ピープル"として生きていこうと努力する居酒屋シーンでの姿が本当に痛々しいのです。


多分、夢諦めちゃった人、諦めかけてる人にとっては、あの居酒屋シーンではトムに投影しちゃうのではないでしょうか。そこで、イックにカツを入れられるのです。


1回目は特に感想がなかったのに、2回目で号泣するのは初めての体験です。


で、号泣しながら、『ラ・ラ・ランド』のラストシーンを思い出したのです。


女優を目指したミアと、ジャズピアニストを目指したセブ。2人は恋に落ち、互いに些細あいながら、夢を叶えるつもりが、すれ違いで別々の人生を送ることに。


最高なことに、2人とも自分の夢を叶えることができた。ミアは素敵な家庭も持った。でも、ある日2人は再会し、"2人であのまま一緒にいられたら、そうなっていたかもしれない人生"に切なくなってしまう(そして観客は号泣してしまう)、あのシーン。


ハリウッドとサイタマの格差。成功者と、何も成し遂げていない若者の格差があるものの、何か共通点がある気がするのです。


それはきっと、夢を叶えても、叶えられなくても、何かしらの心のつかえが存在すると『SR サイタマノラッパー』も 『ラ・ラ・ランド』も教えてくれたような気がするのです。


最後、駆け足になりましたが。


こんなことをトーキョーの片隅で、バレンタイン間近に一人考えているのでした。



『ラ・ラ・ランド』をレンタル視聴するなら:






Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...